結城浩のはてなブログ

ふと思いついたことをパタパタと書いてます。

エディタで書く

ahirasawaさんは原稿をワードで書いているとのこと。確か西尾維新さんもワードを使っているらしいですね。
結城は秀丸エディタで原稿もプログラムもメールも書いています。理由はいくつかあります。
理由の一つは「速いから」です。ワード(に限らずワープロソフト)は遅くありませんか?
もう一つの理由は「バイナリに落としたくないから」です。ワードで作ったファイルはワード専用のファイルになりますよね。ということは、ワードがなければ読めないテキストになってしまう。それがいやです。grepもできないし、適当にスクリプトを書いてLaTeXに変換することもできないし。diffを取るのも難しい。テキストファイルになっていると、1980年代に自分が書いたテキストも探し出すことができます。私はこれまでに自分が仕事で書いたテキストのほとんどすべてをgrepで探し出すことができます。もし私が1980年代に当時のワープロソフトで書いていたらと思うとぞっとします。現在、当時のワープロソフトなんておそらく一個も残っていないからです。プログラムの寿命よりもデータ(今回の場合にはテキスト)の寿命のほうが長いと思っています。
以下も参考に(こういう風に示せるのは、grepで探せるからです)。

そういえば、結城がこの「はてな日記」をはてなダイアリーライターで更新している理由もちょっと似ている。自分が時間をかけて書いた文章を、手元にテキストファイルの状態で残しておきたかったからですね。手元にテキストファイルとして持っていれば、ネットにつながっていない状態でも、自分の書いた日記をgrepで検索できます。もし、たったいま、はてなのサーバのデータがすべて失われたとしても、私の日記は一文字も失われません。私の手元にテキストがすべて残っているからです。私はそういう仕事のやり方が好きなのです。
追記(1)id:nozomさんが「今だったら逆に全部Web上に置いておいた方がデータを失わずに済むんじゃないかという気もする」というコメントをつけてくださいました。なるほど!と膝を打った後、よく考えてみると、手元とWebの両方に置いておくのがよいですね。ある人はWebをマスターと考え、別な人は手元をマスターと考えると思います。私はWebのほうをバックアップと思っています。実際、アーカイブして暗号化したファイルはネットのあちこちに保存しています。バックアップとして。
追記(2)id:amapyonさんから「ばりばり、Word派です。自分の場合は、画像とかが近くにないと書き進められないんです。テキストオンリーで書くのはつらいです。」とコメントをいただきました。なるほど。画像というのは構成図やスクリーンショットUMLの図などですかね。結城も図を先に書きますが、テキストの中に埋め込まれている必要性はあまり感じませんねえ…。まあ、作業の進め方は人それぞれですけれど。
追記(3)id:ahirasawaさんが「Wordで文章を書く理由」を書いていらした。ふむふむ。(a)最終完成原稿に近いイメージで書き進めたいという希望は、結城も10年くらい前はありましたけれど、最近は少なくなりました。分量は行数よりもバイト数で量っていますね…あ、でも、私はあまり偉そうなことは言えないのでした。連載一回分の原稿として二回分の分量のテキストを送付しちゃった前科があるので(しかも何度も)…編集者さん、ごめんなさいごめんなさい。(b)文中に書けない補足事項は、結城の場合、送付するテキストファイルのはじめに「連絡事項」として書いています。(c)処理負荷はあります…これは結城のマシンが非力なだけかもしれませんが、ワードで特に耐えられないのは起動スピードですね。
追記(4)原稿執筆時のルビなどはどうしているのだろう?という疑問を見かけましたが、答えは単純で、たとえば、

バッグを一瞥(ルビ:いちべつ)してから、テトラちゃんを見る。

のようにテキストに書いておきます。すると編集者さんが「いちべつ」というルビにしてくれるのです。西尾維新さんがワードを使っているというのは『西尾維新クロニクル』に書いてありました。