結城浩のはてなブログ

ふと思いついたことをパタパタと書いてます。

長男に不完全性定理を説明する

結城「そこの『ゲーデルエッシャー・バッハ』取って」
長男「あのGEBって表紙にある奴だよね」
結城「そうそう」
長男「ねえ。エッシャーとバッハはわかるけど、ゲーデルって誰?」
結城「数学者」
長男「何した人?」
結城「不完全性定理を証明した人」
長男「ふかんぜんせいていり?」
結城「そう」
長男「どんな定理?」
結城「難しいな……数学的な命題ってたくさんあるよね。めいだいってわかる?」
長男「「いのち」の「だい」って書くんでしょ」
結城「そうそう。真か偽かを判断できる数学的な言明。たとえば《x^3+y^3=z^3を満たす正の整数x, y, zは存在しない》とか」
長男「え、そうなの?その命題は証明されているの?」
結城「されてる。フェルマーの最終定理から言える」
長男「あ、そうか」
結城「不完全性定理っていうのは、簡単に言えば「真なのに証明できない命題がある」ということ。ゲーデルはそれを証明した」
長男「へえ」
結城「真な命題の集合の中には、証明による手が届かない範囲があるってこと。ゲーデルエッシャー・バッハの中の図を見よう」
長男「反対はないの?証明はできるけれど、真じゃない命題というのは」
結城「真じゃないのに証明できたら、それは間違った証明だよ」