結城浩メルマガ/数学文章作法「読者」/父のこと(1)/専門は何?/
結城浩のメルマガ「コミュニケーションの心がけ」のVol.021を発行しました。
今回は、
- 結城クイズ
- 教えるときの心がけ - 夏休み特別編「父のこと」(1)
- 数学文章作法 - 第1章「読者」
- Q&A - あなたの専門は何ですか?
- 結城クイズの答え
- 次回予告 - 本の読み方
をお届けします。
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今回のメルマガを、ちょっと立ち読み!
●夏休み特別編「父のこと」(1)
……(中学校の教師であった)父がよく話してくれたエピソードに「雑談」があります。
父は授業中に「これは雑談だが」と前置きして、教えている内容に関係のある興味深い話題を生徒に話すことが多かったそうです。
雑談と称していながら、実はまったく雑談ではないのがポイント。天体の授業をしながら、コペルニクスの話になり、ガリレオの話になり、人工衛星の話に移り、放物線の話になり…と、関連した内容が自然につながって語られる。そのような授業を通して、生徒は緊密につながった大きな世界を感じることができるのでしょう。
うまいと思うのは「雑談」というキーワードです。「雑談」と前置きしたとたん、生徒が急にリラックスする様子が目に浮かびます。授業中でありながら「授業」という枠をすっと外す。「テストには出ないし、暗記もいらないよ」というメッセージを、「雑談」という一言で生徒に伝えることができる。
実際、生徒はそのような「雑談」の方をしっかり覚えていることも多かったようです。ある日の学級日誌に「今日の授業内容」として、《国語は作文》《数学は相似》《理科は雑談》と生徒に書かれたらしく、
「《理科は雑談》と書かれてしまったよ」
と父は苦笑していました……